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光学ガラスの研磨

ガラスには様々な種類が存在します。その中でも光学的に優れた特性を持った「光学ガラス」の研磨加工についてご紹介します。

光学ガラスとは

光学ガラスは光学的な特性を最適化するために特別に設計された高品質なガラスです。主に光の透過性や屈折率、分散性などに優れ、さまざまな光学機器や光学装置、電子デバイス部品の製造に利用されます。光学ガラスの特性を一部ご紹介します。

光学ガラスの特性

透明性

高い透明性を持ち、光が媒体を透過する際にほとんどのエネルギーを吸収せず、光学機器による透明性の低下を最小限に抑えます。また、特定の波長範囲での高い屈折率を持ち、レンズやプリズムなどの光学部品で光を屈折・反射させるために使用されます。

分散性

分散性も重要な特性です。光学ガラスは波長による屈折率の違いを補正するように設計され、色収差を最小限に抑えることができます。これにより、高品質の画像や像の形成が可能になります。

熱的・化学的安定性

熱的・化学的安定性も優れています。熱膨張率が低く、耐熱性に優れており、高温環境下での安定性を保ちます。さらに、化学的な耐性が高く、薬品や湿気などの影響を受けにくい特性を持ちます。

硬度と耐摩耗性

硬度と耐摩耗性も重要な特徴です。一般的に硬く、耐摩耗性が高いため、表面の品質を保ち、長寿命の光学機器を製造することができます。

 

光学ガラスはカメラレンズ、望遠鏡、顕微鏡、レーザー装置、光学センサーなど、様々な分野で幅広く利用されています。高度な技術と精密な製造プロセスにより、高品質の光学機器の製造に不可欠な素材として、多くの分野で重要な役割を果たしています。

光学ガラスの種類

光学ガラスはさまざまな特性を持つ多様な種類のガラスがあります。

シリカガラス(石英ガラス)

純粋な酸化ケイ素で構成される透明なガラスです。高い透明性、化学的安定性、熱的安定性を持ち、広い波長範囲での光の透過が可能です。レンズ、光ファイバー、光学窓などに広く使用されます。

ボロシリケートガラス

ボロン酸を含むシリカガラスで、ボロンの添加により熱膨張率が低くなります。このため、熱ショックに強く、耐熱性に優れています。透明性も高く、光学装置や化学実験器具などに利用されます。

フリントガラス

主に鉛酸やバリウム酸を含むホウケイ酸ガラスの一種です。分散性が高く、色収差を補正するためのアクロマートやアポクロマートに使用されます。

クラウンガラス

これもホウケイ酸ガラスの一種で、主にホウ素酸やアルカリ金属を含みます。屈折率が比較的低く、レンズの縁部分に使用されることが多いです。

フロリドガラス

フッ化物を含むガラスで、可視光から近赤外線までの広い波長範囲で透明です。光学顕微鏡や赤外線分光装置などに利用されます。

クォーツガラス

石英ガラスよりも高純度のシリカを主成分とするガラスで、紫外線領域までの広い波長範囲で透明です。紫外線の透過率が高いため、紫外線分光装置やUV-Vis分光器などに利用されます。

リン酸塩ガラス

リン酸塩が含まれる青色のガラスで、近赤外光を吸収する特殊な性質があります。人間の視感度とカメラのイメージセンサーの視感度を合わせるために使われます。

光学ガラスの研磨

光学ガラスの研磨はガラスの特性が特殊なので、一般的なガラスの研磨加工とは以下のような違いがあります。

光学ガラスの研磨の注意点

研磨加工に多くの時間が必要

光学ガラスは硬度が高く耐摩耗性に優れていることが多いです。そのため研磨加工には多くの時間を費やす必要があります。

研磨装置の調整にも多くの時間が必要

高平坦度,高平行精度を求められる製品が多いため、研磨装置のコンディショニングにも多くの時間が必要です。

研磨スラリーの調質が必要

特殊な成分が添加されており化学的に不安定なものもあります。酸やアルカリによって腐食や変質するので、研磨スラリーや洗浄液のpHを調整したり、特殊な薬液を添加するなどして対応をします。

環境対応に注意が必要

環境負荷の高い成分が含まれるガラスもあり、研磨排液の特殊な処理が必要になることがあるため、他の廃液とは別に回収して処理する必要があります。

ニットーの事例紹介

光学ガラスはニットーの得意分野です。

試作からも承りますのでお気軽にご相談ください。

 

ボロシリケートガラス

ボロン(ホウ素)が強固に固着してしまうため、専用の洗浄剤による念入りな洗浄が必要となります

リン酸塩ガラス

水と反応して溶けてしまうため、仕上げ研磨加工後の素早い処理と湿気対策が必要です

クォーツガラス

石英ガラス

とにかく固いので、加工に時間がかかるため、研磨品質に影響が無い様、研磨材の状態管理が必要です

まとめ

光学ガラスには様々な種類があります。ニットーはその特性を熟知していますので、最適な研磨材や洗浄剤を用いて対応ができます。また、環境にも配慮していますので安心して研磨加工をご依頼ください。

 

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