ガラスの精密研磨とは
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ガラスの精密研磨の目的
ガラスの表面(片面及び両面)を研磨することにより、平坦性や表面粗さ、および透過率を向上させることができます。
ガラスの精密研磨とは
ガラス研磨はガラス表面の平滑さや透明度を改善するために行われます。ガラスは建築物や自動車、光学分野など幅広い業界で使用されますが、各製造工程においてキズや汚れ、平坦性が崩れるなどの不具合が生じることがあります。ガラス研磨はこれらの欠陥を取り除き、ガラスの持ち得る必要な機能を生かすために行われます。
ガラスの精密研磨の原理
両面研磨と片面研磨
研磨は一般的に「両面研磨」と「片面研磨」に分けられます。両面研磨はガラスの両面を同時に加工しますので、片面研磨に比べて均一な精度が得られます。ガラスのサイズや目的に応じて選択します。
遊星原理
ガラスを両面研磨機にセットし保持治具で固定します。上下定盤でガラスを挟み込み、上下定盤をそれぞれ逆方向に回転させることでガラスの表裏を効率的且つ均一に研磨を行うことができます。
研磨剤
ガラス研磨の場合、「ケミカル要素」と「メカニカル要素」それぞれの特性を生かして加工を行います。ケミカル要素として、ガラス表面を削りやすい状態にする必要があり、一番適しているのが多くの場合「酸化セリウム研磨剤」です。ガラスの種類により研磨剤との相性が異なりますので、その選定も研磨加工メーカーのノウハウです。
精密研磨をするガラスの種類
石英ガラスの研磨
石英ガラスとは珪素を原料としたガラスの一種です。照明用、光学用、理化学用、半導体工業用液晶用、光ファイバ用など用途は多岐にわたります。
光学ガラスの研磨
光学ガラスは光学的な特性を最適化するために特別に設計された高品質なガラスです。主に光の透過性や屈折率、分散性などに優れ、さまざまな光学機器や光学装置、電子デバイス部品の製造に利用されます。
カバーガラスの研磨
スマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末などは幾層ものガラス基板などが積層され形作られています。カバーガラスはそれらデバイスにおいて直接指で触れられる最外層のガラスです。
ソーダライムガラスの研磨
ソーダライムガラス(soda-lime glass)とは、ケイ砂(SiO2)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)を混合し融解したガラスで、ソーダ石灰ガラスや青板とも呼ばれます。最も一般的なガラスであり、世の中に多く出回っています。
低熱膨張ガラスの研磨
低熱膨張ガラス(Low Thermal Expansion Glass)は、熱膨張率が低い特性を持つガラスのことです。低熱膨張ガラスは温度変化による寸法変化を最小限に抑える必要がある以下のような場面で使用されます。
耐熱ガラスの研磨
青板などの一般的なガラスに比べ、硬度が高いガラスが殆どとなります。そのため、物理的に削れにくく加工が長時間化してしまう傾向があります。ただし、硬いが故に表面の粗さが一般的なガラスよりも良好になります。
TGV(貫通穴付ガラス基板)の研磨
TGVとは "Through Glass VIA" の頭文字をとった「貫通穴付ガラス基板」です。上下に導通をとるために微細な多数の貫通穴(VIA)加工が施されています。細孔に銅メッキ、エッチング等の処理を施すことで電極を作成します。
ニットーがご対応できるガラス(精密研磨)
- ソーダライムガラス
- 耐熱ガラス
- 無アルカリガラス
- クラウンガラス
- フィルターガラス
- 低Tg光学ガラス
- 合成石英ガラス
- カバーガラス
- 低膨張ガラス
- 結晶化ガラス
- 光学ガラス
ニットーが保有する研磨加工設備
設備・サイズ
|
台数
|
角形素材対応サイズ
|
円形素材対応サイズ
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大型両面ラップ研磨機
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12
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〜680 × 880mm
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φ900
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中型両面ラップ研磨機
|
12
|
〜320 × 400mm
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φ500
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小型両面ラップ研磨機
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9
|
〜160 × 230mm
|
φ280
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特大両面ポリシング研磨機(特別仕様機)
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1
|
〜1500 × 2000mm
|
φ2500
|
大型両面ポリシング研磨機
|
19
|
〜730 × 920mm
|
φ1130
|
中型両面ポリシング研磨機
|
12
|
〜320 × 400mm
|
φ500
|
小型両面ポリシング研磨機
|
25
|
〜180 × 250mm
|
φ280
|
大型片面ポリシング研磨機
|
10
|
〜1500 × 2000mm
|
φ2000
|
ガラスの精密研磨の手順
研磨加工を行う際の流れ
- ガラスの仕様を確認し、研磨加工条件を決めます
- ガラスの大きさにより加工機の選定、材質や仕様により研磨剤やパッドの選定を行います
- ガラスの大きさや厚みに応じた加工用保持治具を作製します
- 研磨機にセットし加工開始です
- 加工終了後、ガラスを洗浄し乾燥します。
- 検査工程で仕様通りに仕上がっているか確認を行います。(外観・測定)
- 必要であれば再度研磨加工を行い、精度だしを行います。包装梱包して出荷します。
ガラスの精密研磨の種類
ラッピングとポリッシング
ガラス研磨は大きく2種類に分けられます。仕様や目的によってどちらかを選ぶか、または両方の作業を選びます。
ラッピング
形状を整える、厚みを整える、厚みを揃える
ポリッシング(研磨)
平滑にする、鏡面化する
27,000通りの加工条件から最適解を検討する
ガラスの大きさや仕様に応じて加工条件を決めます。
「研磨剤」×「研磨パッド」×「加工条件」各項目で30種類以上の選択肢がありますので、30の3乗=27,000通りの加工条件から最適な方法を選定いたします。
ガラスの精密研磨まとめ
ガラスの精密研磨の加工はラッピングとポリッシングの2種類に大別されますが、研磨剤やパッドなどあらゆる選択肢がある中、当社の実績とノウハウで最適な加工条件の選定が可能です。中でもガラス研磨は約70年の実績がありますので、試作も含めてお気軽にご相談ください。
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