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研磨加工における洗浄(精密洗浄)とは

洗浄(精密洗浄)とは

研磨により加工物や工具などから生じた研磨カスや研磨剤など、付着している微細な粒子を取り除くプロセスが研磨後の洗浄です。目に見えないほど小さな汚れの除去を目的としているため『精密洗浄』と言われます。

精密洗浄は電子部品・光学部品・半導体製品の品質や信頼性に大きく影響するため、研磨加工同様にプロセス自体が高度な制御と監視を必要とします。

研磨後の精密洗浄の原理

物理的な力による除去

精密洗浄では、物理的な力を利用して微細な粒子や汚れを表面から除去します。これには、超音波洗浄、高圧洗浄、スプレー洗浄、ブラシやブラシローラーによるスクラブ洗浄があります。

 

  • 超音波洗浄
    超音波の波動が微細な振動を表面に与え、汚れ粒子を剥離させて、除去します。

  • 高圧洗浄やスプレー洗浄
    水流や液流の力を利用して汚れを表面から除去します。

  • スクラブ洗浄
    回転するブラシが表面に接触し、物理的な摩擦で汚れを除去します。

洗浄剤(薬液)による除去

洗浄剤の化学的な作用により、汚れを除去します。この洗浄剤の効果と物理的な力を併用することにより効果的に洗浄を行います。また界面活性剤を用いて洗浄時・リンス時の汚れ再付着を防止します。

研磨加工後の精密洗浄の手順

精密洗浄の手順は洗浄対象や洗浄方法によって異なる場合がありますが、一般的な手順を以下に示します。

 

  1. スクラブ洗浄
  2. 薬液(ヒーター加温)+超音波洗浄
  3. 純水+超音波洗浄
  4. 乾燥

1. スクラブ洗浄

まず洗浄対象物に付いている汚れをスポンジで擦り洗いします。
この時、大量の流水を使用して汚れを洗い流していきます。

スポンジにも汚れが蓄積していくので、スポンジの管理も重要です。

2. 薬液(ヒーター加温)+超音波洗浄

落としたい汚れの成分によって効果的な薬液を選定します。
薬液をヒーターで加温して化学的な作用と、超音波による振動の物理的な作用の両方で汚れを落としていきます。

3. 純水+超音波洗浄

洗浄対象物に薬液残渣が残ってしまうと洗浄槽の汚染などで品質に影響が出てしまいます。その防止のため、薬液洗浄後は純水シャワーや超音波洗浄でしっかり落とします。

4.乾燥

乾燥も洗浄品質に大きく影響するプロセスとなります。

 

  • IPAベーパー乾燥 IPA蒸気を使した乾燥させる
  • 温純水引き上げ乾燥 温水から引き揚げながら乾燥させる
  • スピン乾燥 洗浄対象物を回転させ、遠心力により水分を飛ばして乾燥させる

 

※IPAベーパーとは

IPA(イソプロピルアルコール)を用いた蒸気のこと。IPAは水よりも揮発性が高いため、付着した水分をIPAに置換して、迅速に乾燥することができます。

精密洗浄装置の種類

ある程度の量の洗浄対象物を一度にまとめて洗浄する「バッチ式洗浄装置」と、洗浄対象物を1個ずつ洗浄する「枚葉式洗浄装置」があります。

バッチ式洗浄装置

ある程度の量の洗浄対象物を一度にまとめて洗浄

バッチ式洗浄装置とは、複数の洗浄対象物をまとめて洗う洗浄装置です。洗浄対象物を専用カセットに入れて処理をします。

洗浄装置内には超音波発信機やヒーターが入った「薬液槽」「純水槽」「純水シャワー槽」など、複数の洗浄槽があります。「洗浄槽」を順番に移動することで効率的に洗浄が行われます。洗浄対象物が洗浄カセットに納まるのであれば洗浄可能なため、幅広い分野で広く用いられています。一度に複数の洗浄ができる事から処理能力が高く、低コストが利点となります。

枚葉式洗浄装置

洗浄対象物を1個ずつ洗浄

洗浄対象物を1枚ずつ処理する洗浄装置です。 1枚ずつ洗浄されるため、個々の洗浄プロセス条件を管理しやすく、洗浄品質が安定できる利点があります。大量の洗浄対象物がある場合や、サイズ違いなど多品種の場合は、バッチ式洗浄機には及びません。

まとめ

洗浄品質についてのご相談承ります

洗浄技術はとても奥が深く、様々なプロセスがあります。ニットーでは、「超純水を使用した洗浄工程」と「class100のクリーンルーム内での検査」によりクリーンな製品の洗浄仕上げが可能です。お困りの企業様はぜひお気軽にご相談ください。

 

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