SiC研磨とは
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SiCとは
SiCとは炭化ケイ素(Silicon carbide)とのことであり、炭素(C)とケイ素(Si)が1対1で結合した共有結合性の化合物です。
SiCは高硬度で耐熱性、耐久性に優れていることから、研磨・研削材や耐火材として利用されています。また、特に高温での耐熱性に優れていることから、最近、半導体材料や関連材料などとして注目されています。
新たなパワー半導体として注目
SiCは新たなパワー半導体として注目されており、これまで使われてきたSi(シリコン)と比較して禁制帯幅(バンドキャップ)が約3倍、絶縁破壊電解強度が約10倍、飽和電子速度が約2倍と優れた特性値を有しています。
SiC基板の研磨加工
SiC基板は単結晶のインゴットから切断され、厚み、平行度、面粗さの調整を行うため、研削やラッピング等を行い、ダメージ層除去のために多段階の機械研磨やCMP(化学的機械的)研磨などが行われます。
SiC研磨の手順
ニットーの研磨手順について説明します。
- 受入検査
- 片面LAP加工
- 両面研磨
- 洗浄
- 最終検査
1. 受入検査
SiCウエハ全体の割れ、表面のキズ、端面部のカケ、チッピング(細かいカケ)、クラック(亀裂やひび割れ)がないか確認を行います。また、SiCウエハの厚みを確認して、粗加工、鏡面加工仕上げの厚みを決めます。
2. 片面LAP加工
金属定盤とSiC加工専用スラリー(研磨剤)を用いて、厚みを薄くすると共に材料にあるうねりや凹凸、ソリを矯正します。
3. 両面研磨(CMP研磨)
研磨パッドとSiC加工専用スラリー(研磨剤)を用いて、前工程で発生した表面ダメージの除去と表面粗さの低減を行います。CMPは Chemical Mechanical Polishing の略であり、CMP研磨は化学的に溶解させながら機械的な除去、研磨を行う研磨技術を指します。
4. 洗浄
加工時についた研磨剤や汚れ、埃などを擦り洗浄など、物理的に除去することに加え、溶剤を使用して化学的に除去も行います。
5. 最終検査
クリーンルームにて特殊な光をあて、SiCウエハ表面のキズやカケなどの欠陥がないか確認を行いお客様の要求(仕様)に合わせて、合否判定を行います。
SiC研磨の課題
SiCウエハの平坦化は「研削加工」もしくは「研磨加工」が選ばれます。
- 研削加工 枚葉式(1枚1枚の加工)で量産効率が悪い
- 研磨加工 バッチ式で複数枚一括処理が可能
量産効率の面で研磨加工が優れていますが、Siウェハの量産加工に比べると加工速度が遅いため、単位時間あたりの処理枚数ではSiウェハの6倍以上の時間がかかることが問題とされています。
現状は加工レートの向上を目的としたCMP研磨時に使用するSiC研磨専用の研磨剤の開発も進んでいますが、強い化学的作用やコストの問題から現在でも様々な新規研磨技術の開発が続けられています。
SiC研磨の様々な種類
- 紫外光照射を援用した研磨法
- プラズマ酸化を援用した研摩法
- 固定砥粒による研磨方法
1. 紫外光照射を援用した研磨方法
- パワーデバイス用のウエハは一般的に4H-SiCが用いられる
- 4H-SiCの禁制帯幅よりも大きなエネルギーを有する紫外光を照射する研磨方法
- 基板表面に紫外光を照射しながら酸化セリウム粒子を塗布した紫外光透過定盤と高速摩擦摺動
- 高能率に平坦なSiC表面が得られる研磨方法
2. プラズマ酸化を援用した研摩方法
- SiC表面に対して水分子を含むヘリウムガスで大気圧プラズマを発生させてSiC表面を改質し、酸化セリウム砥粒によって改質層を除去
- 大気圧プラズマ酸化によって得られた酸化膜とSiC基板との界面が原子レベルで滑らかに
- ステップ-テラス構造を有する加工面が得られる研磨方法
3 固定砥粒による研磨方法
- ダイヤモンド砥石を定盤に成型した固定砥粒定盤を作製
- 高速研磨装置と組み合わせることによる研磨方法
まとめ
SiCは、高硬度かつ脆性の高く非常に加工が難しいとされていることもあり、当社も明確な加工方法が確立できておりません。そのような中ですが、当社がこれまで培ってきたノウハウを基に数ある「研磨剤」×「研磨パッド」×「加工条件」の組合せから、お客様が求める品質を追求致します。試作加工も含め、お気軽にご相談ください。
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