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窒化アルミニウムの研磨とは

窒化アルミニウムとは

窒化アルミニウム(aluminum nitride, AlN)はアルミニウムの窒化物であり、無色透明のセラミックスです。アルミナイトライドと称することもあります。

窒化アルミニウムの特性

  • 熱伝導率が高く、熱放射性が大きく、熱衝撃に強い(急熱、急冷に強い)
  • 電気絶縁性に優れている
  • 各種半導体に近い熱膨張性を有している
  • フッ素系ガスの耐食性が大きい
  • 耐プラズマ性に優れている

窒化アルミニウムの用途

  • パワーエレクトロニクス用ヒートシンク
  • 半導体用基板
  • 薄膜回路基板
  • ウエハー静電チャック用部品
  • プラズマエッチャー(エッチング装置)用部品 など

窒化アルミニウム研磨の課題

窒化アルミニウムの湿式の研磨、研削加工においてはいくつかの課題がありました。

アンモニアガス発生による作業効率や安全環境面の問題

加工中に生じる削りカス(スラッジ)と水が加水分解反応を起こし、大量のアンモニアガスが発生。作業効率や安全環境面の問題が生じる。

 

課題に対する当社の対応

加工中のアンモニアガスの発生制御や加工スラッジの処理技術を独自開発

熱の発生による加工機を劣化させてしまう問題

加水分解反応の際に熱も発生することにより、加工時に使用するラップ剤や研磨剤が加工機内で水分を奪われ、固着して加工機を劣化させてしまう問題が生じる。

 

課題に対する当社の対応

ラップ剤、研磨剤などに特殊な薬液を添加することで加工機内に固着を抑制

窒化アルミニウム研磨の必要性

窒化アルミニウム基板の生成方法

窒化アルミニウム基板は窒化アルミニウム粉末を主成分とし、焼結助剤やバインダ、可塑剤および分散剤を加えて混練した材料を用いてグリンシートを作ります。

グリンシートを積層した後、非酸化雰囲気中で脱脂して窒化アルミニウム成形体を形成し、窒化硼素基板で挟み、グラファイトの密閉容器中で焼成することにより窒化アルミニウム基板が生成されます。

なぜ、窒化アルミニウム基板に研磨が必要なのか

しかし、グリーンシート作成や焼成過程において、窒化アルミニウム基板にうねりや凹凸、反りなどが発生してしまう問題を解決しなくてはなりません。

窒化アルミニウム基板はヒートシンクとして使用されることもあり、デバイス(チップ)と接合されます。接合面にうねりや凹凸、反りがあると接触面積が限られ十分な接合強度や熱伝導率を得られないため、研磨加工等により平滑な表面にする必要があります。

窒化アルミニウム研磨の手順

窒化アルミニウム研磨の平面研磨の手順について説明します。

一般的に粗加工(ラッピング)を行い、鏡面加工(ポリシング)を行います。また、その前後で洗浄、検査も行います。

 

  1. 受入検査
  2. 粗加工(ラッピング)
  3. 鏡面加工(ポリシング)
  4. 洗浄
  5. 最終検査

1. 受入検査

窒化アルミニウム基板の全体の割れ、表面のキズ、端面部のカケ、チッピング(細かいカケ)、クラック(亀裂やひび割れ)が無いかや基板のうねり、反りの状態を確認。また、基板厚みを確認して、粗加工、鏡面加工仕上げの厚みを決めます。

2. 粗加工(ラッピング)

窒化アルミニウム表面を粗削りして、厚みを薄くすると共に材料にあるうねりや凹凸、ソリを矯正します。

3. 鏡面加工(ポリシング)

粗加工での表面ダメージを除去して、お客様が求める表面状態(表面粗さ、キズの許容)、厚みに揃えます。当社は、複数の研磨パッド、研磨剤の組合せにより多段階の鏡面加工を実施します。

4. 洗浄

加工時についた研磨剤や汚れ、埃などを擦り洗浄など、物理的に除去することに加え、酸性の溶剤を使用して化学的に除去も行います。

5. 最終検査

特殊な光をあて、窒化アルミニウム基板の表面のキズやカケなどの欠陥がないか確認を行いお客様の要求(仕様)に合わせて、合否判定を行います。

まとめ

各種セラミックスの中で窒化アルミニウムは優れた熱伝導性と高い電気絶縁性を備え、シリコンと熱膨張係数が近い素材です。耐プラズマ性に優れる物質性を生かし、パワーエレクトロニクス用のヒートシンクに加え、半導体、液晶、有機EL用アレイの製造に用いる静電チャック用材料として注目されています。

ニットーはアルミニウム研磨の量産対応が可能

ニットーは窒化アルミニウム研磨の課題とされていた加工中のアンモニアガスの発生制御や加工スラッジの処理技術を独自開発し、ラップ剤、研磨剤などに特殊な薬液を添加することで加工機内に固着を抑制することで量産対応が可能です。

「研磨剤」×「研磨パッド」×「加工条件」の組合せから最適解を探します

当社は100台以上の研磨機を保有していることに加え、これまで培ってきたノウハウを基に数ある「研磨剤」×「研磨パッド」×「加工条件」の組合せから、お客様が求める品質を追求いたします。

試作加工も含め、窒化アルミニウム基板の大型化、薄型化、平坦化などでお悩みのお客様はお気軽にご相談ください。

 

 

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