アルミナとは
アルミナ(Al2O3)とは酸化アルミニウムのことであり、化合物です。白色の粉末で水やエタノールには溶けないことが特徴です。両性酸化物であるため酸や強塩基の水溶液に溶ける性質を持ちます。物理的、化学的に優れ、酸化系のセラミックス素材として多くの分野で利用されています。融点が高く、耐熱性に優れており、化学的に安定しているなど非常に活用しやすい化合物です。
また、酸化アルミニウムの結晶であるコランダムは、非常に硬く、その強度はダイヤモンドにも次ぐとされています。コランダムは天然から産出され、昔から研磨剤として使用されています。更に人工的に手を加えたアランダムや白色アルミナなどは酸化アルミニウムを主成分とする研磨剤の材料として開発されてきました。
アルミナ基板の特性
・高温環境下でも物理的、化学的特性が安定している
・シリコンに近い熱膨張係数で高い熱伝導性を有しおり、放熱性に優れている
・高い電気絶縁性を持っている
・優れた耐食性、耐摩耗性、機械的強度を持っている
アルミナ基板の用途
・高周波用薄膜回路基板
・放熱基板、ヒーター基板
・車載基板、センサー部材用基板 など
アルミナ基板研磨の目的
アルミナ基板は精密な部品や装置の製造に使用されるため、研磨によって表面の粗さや不均一性を取り除く必要があります。「表面の平滑化」「形状の精度向上」などの表面仕上げの改善目的で研磨が行われます。
アルミナ基板研磨の原理
アルミナ基板研磨の原理は、摩擦力と研磨剤の作用に基づいています。
摩擦による削り取り
研磨剤がアルミナ基板の表面と接触し、摩擦力を発生させます。 研磨剤の粒子が表面の凹凸や突起に絡みつき、削り取ることで凹凸を除去します。
研磨剤の硬度
研磨剤はアルミナ基板よりも硬い材料で構成されています。
研磨剤の粒子サイズ
研磨剤の粒子サイズは研磨の効果に影響を与えます。 粒子が大きい場合は、表面の突起を短時間で効果的に研磨することができますが、平滑な仕上げには向いていません。一方、微細な粒子は平滑な仕上げになりますが、研磨時間が長くなります。
当社のアルミナ基板研磨の手順
アルミナ基板は次のようなプロセスで研磨加工されます。
1 粗面研磨(研削・ラッピング)
2 鏡面研磨(ポリッシング)
1 粗面研磨(研削・ラッピング)
初めに表面の大きな傷や凹凸、うねりを取り除くために研削加工もしくはラッピング加工を行います。
研削加工は、研削専用の砥石やホイールなどの固定治具を用いて材料を削ることで形状を整えていきます。砥石には様々な種類があり、加工する材料により選別します。多くの場合、ダイヤモンドまたはCBN(ホウ素や窒素からなる化合物でダイヤモンドに次いで硬い)が含有された砥石を高速回転させ、加工物に当てて加工します。
ラッピング加工の場合は、粗い研磨剤を使用します。研磨剤は通常、硬度の高い砥粒(例: アルミナ、炭化ケイ素、ダイヤモンド)を水、油に分散させてスラリーとして使用されます。スラリーを供給しながら、鋳鉄などの硬質材料のラップ盤に適切な圧力や運動を加えながら対象物を押し付けて研磨を行います。ラッピングではポリッシングに移行するまでに順次砥粒を細かくし、寸法、形状、表面性状などを整えていく工程を取ります。
参考:ラップ研磨(ラッピング研磨)とは
2 鏡面研磨(ポリッシング)
粗面研磨後さらに細かい研磨剤を使用して表面の微細な傷や凹凸を取り除きます。研磨剤はアルミナ、ダイヤモンド、酸化ケイ素スラリーが使用されます。ラッピングと異なり軟質材料の工具(ポリシングパッド)に対象物を押し付けて研磨を行います。ラッピング同様に順次砥粒を細かくし、またポリシングパッドを変更し、寸法、形状、表面性状などを整えていく工程を取ります。
参考:鏡面研磨(ポリッシング加工)とは
まとめ
各種セラミックスの中でアルミナは優れた熱伝導性と高い電気絶縁性を備え、シリコンと熱膨張係数が近い素材です。当社は100台以上の研磨機を保有していることに加え、これまで培ってきたノウハウを基に数ある「研磨剤(ラップ剤)」×「研磨パッド(ラップ定盤)」×「加工条件」の組合せから、お客様が求める品質を追求致します。
アルミナ基板の大型化、薄型化、平坦化、表面粗さなどでお悩みのお客様は、試作加工も含め、お気軽にご相談ください。